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ここに万年筆とボールペンがあったとします。
インクが早く乾き(速乾性)、水が掛かっても文字が消えず(耐水性)、文字のシェイプが一定している(安定性)。一見機能性が高いと思うのはボールペンの方です。
これに対して万年筆は、インクが乾くのが遅く、水が掛かれば文字が滲み、文字のシェイプも不揃いで均一ではありません。一見機能性が劣るような感じもします。果たしてその通りなのでしょうか?
判断の基準に道具としての「タッチ」の概念を持ち込んだ時、この優劣は逆転します。
ボールペンのペン先には「たわみ」が無いので、書き味は常にゴツゴツと硬く、心地よさはありません。書きあがった文字も、均一で面白みがありません。
反面、万年筆は、常にペン先が適度にたわみ、その心地よいタッチがペンを持つ手に伝わってきます。そのタッチのよさが、気持ちを高揚させてどんどん文章を書きたくなるような気持ちにさせてくれます。その時によって変わる勝手気ままな人間の筆圧に合わせるように、ペンの方が書き味を調整しくれます。実際に手紙などの長文を書く場合の疲労感も、ボールペンより少ないと思います。

Eメールをはじめ、ワープロ全盛の今だからこそ、万年筆で文章を書くことをお勧めいたします。インクが乾くまでの「間」に、たった今自分で書いた文章を読み返しながら、それを読むであろう相手に思いを馳せる。なんと優雅で贅沢な行為であると思いませんか?
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しかし現代の社会においてボールペンが不可欠なのもまた事実です。複写の書類などはボールペンで記載、署名するのがもはや常識となっています。
だからボールペンもこだわりの一本を見つけてみてください。カードの伝票にさりげなく愛用のボールペンでサインすることで、買い物や旅行にまた違った楽しみが生まれることは間違いありません。
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私共は、20世紀に全盛を極めた「使い捨て文化」に警鐘を鳴らしたいと思います。たとえ筆記具であっても、こだわりを持ってお気に入りの一本を選りすぐり、末永く大切に愛用する。大量消費文明の反省として、モノ選びとモノに対する姿勢の大切さを、次世代に伝えたいと思います。
 
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